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No.468 小児の咳 -百日咳を中心に- たかはしキッズクリニック 高橋 勉

咳は子供の病気の症状としてはよく見られるものの一つで、そのためか熱などがない場合は軽く見られる傾向があるようです。現実に長い間様子を見ていたとか、家にあった薬を使っていたと言う話をよく聞きます。 咳の出る病気は多いのですが、重症化する病気もあることを忘れてはいけません。中でも百日咳は特に乳幼児の場合怖い病気の一つです。 百日咳は、現在の日本ではワクチンの普及、接種の低年齢化によって発症数は減少していますが、時々流行を繰り返しており、決して過去の病気ではありません。大人の場合は罹っても軽くすむことが多いのですが、お子さんが罹ると重症化する危険性が高いです。 百日咳は最初に咳、鼻汁といった軽い風邪のような症状がおよそ2週間続き、その後連続する激しい発作性の咳を起こすようになります。咳の連続のため息ができず、咳のわずかな合間に息を吸うのでヒューという特徴的なカン高い音を出すようになり、呼吸困難や咳、嘔吐の繰り返しのためとても具合が悪くなります。この症状は百日咳菌の毒素が原因であり、同時にけいれんや無呼吸といった脳症を引き起こすこともあります。激しい症状は2~3週間続き、次第に穏やかになりますが、さらに3週間ほどは咳が続き、 百日咳の名前通り完治までには長い時間がかかります。 WHO(世界保健機構)はこの病気の死亡率は1~2%と発表しています。命が助かっても重い後遺症を残すこともあり、やはり怖い病気だと思います。 百日咳はその間、高い熱が出ることはほとんどなく、症状の軽い早い時期から適切な抗菌薬で治療しないと治りにくいです。咳だけでも安心せず、早めに診察を受けること、予防接種を確実に受けること、乳幼児のいる家庭では家族も早めに治すことや、咳を悪化させる受動喫煙に注意することなどが普段から大切です。