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No.472 逆流性食道炎ってなに? 花田内科クリニック 今村 隆明

食べ物は口から入った後に食道、胃、十二指腸、小腸、大腸を通って肛門へと通じます。逆流性食道炎とはその字のごとく、(胃酸の)逆流による食道の炎症です。胃酸の正体は塩酸であり、食道の粘膜は胃に比べて丈夫でないため酸によって粘膜が負けてしまいます。 ●どうして起こるの? 胃と食道のつなぎ目である食道下部括約部は通常は閉まっていますが、加齢や食生活によって筋肉の働きが悪くなり、胃酸の食道への逆流により逆流性食道炎が起こります。また、通常は食道にも逆流してきた胃酸や食べ物を胃へ押し戻そうとする働き(蠕 胃へ押し戻そうとする働き 流してきた胃酸や食べ物を、(蠕動運動)がありますが、その働きが低下することも原因の一 つと考えられています。 ●どうやってわかるの? 逆流性食道炎の診断は、主に自覚症状と胃カメラによって行います。典型的な症状である胸やけ、げっぷなどの他に胸の痛み、喉のつかえ、しつこい咳などの症状で現れることがあり、喘息や心臓病と間違う場合もあり注意が必要です。検査を行わなくてもある程度の診断、治療はできますが、食道がんや胃がんの症状と似ている場合があり、きちんと検査を行わずに投薬中心になると思わぬ病気を見落とすことにつながります。実際の炎症の程度を確認することもできるので、特に検診を受けていない方や長期間薬を飲んでいる方は、定期検査を受けるようにしましょう。飲んでいる方は、定期検査 ●生活面での注意は? 一般的なことではありますが、横になると胃酸が逆流しやすくなりますので、食後すぐに横にならないようにしましょう。また症状が強いときは、刺激物(辛いもの、お酒、たばこなど)を避けるようにしましょう。便秘があると、食べ物の通過が悪くなる関係で症状が悪くなることがありますので、便秘を避けるようにしましょう。また、肥満になると腹圧によって胃酸が上がってきやすくなりますので注意が必要です。 ●お薬の治療は? 以前は良い薬がなかったために薬物治療ができず、食道下部括約部を手術で狭くする治療を受ける方もいましたが、現在はプロトンポンプ阻害薬という胃酸を抑える効果の強いものが使われるようになり、お薬で治療できないケースはほとんどなくなってきています。生活面での注意で改善しない場合は、病気のきちんとした診断を含めて医師に相談するようにしてください。