広報こしがや

No.479 最近の白内障手術 新越谷アイクリニック 中村 昌弘

人の目は、よくカメラに例人の目は、よくカメラに例えられますが、カメラのレンズに相当するのが水晶体です。正常な水晶体は透明で光をよく通します。しかし、加齢などの原因で水晶体が濁ることにより、光が十分に通らなくなります。これが「白内障」です。 白内障が進行すると、徐々に視力が低下します。視力が低下したことにより、日常生活に支障が生じてきた場合は、手術が必要となります。 白内障の手術は主に、濁った水晶体を超音波で砕いて取り出し(超音波乳化吸引術)、人工の水晶体(眼内レンズ)を入れるという方法で行われています。 眼内レンズには、いろいろな度数があり、レンズの度数を調整することで、その人にあった距離にピントを合わすことができます。 従来の眼内レンズは、ピントが1つの距離に固定(単焦点)されています。眼内レンズ自体には、ピントを合わせる調節力がありません。そのため、遠くにピントを合わせると近くが、近くにピントを合わせると遠くが見えません。ピントが合わない距離を見るためには眼鏡が必要になります。たとえば、遠くが見えるような度数の眼内レンズを入れた人は、近くを見たい時には近用眼鏡(いわゆる老眼鏡)が必要になります。 また、人の眼球は、多少のゆがみがあります。この眼球のゆがみが乱視の原因となります。もともと乱視が強い人は、手術後もこの乱視のために、ピントを合わせた距離の見え方もはっきりしません。このような人は、遠くを見る時も近くを見る時も眼鏡が必要になります。 しかし最近では、遠くと近くの両方にピントが合う「多焦点眼内レンズ」や乱視を減らすことができる「トーリック眼内レンズ」など、いろいろな機能のついた眼内レンズも普及しつつあります。これらの眼内レンズを使用することにより、従来の眼内レンズに比べて眼鏡をかけなくても比較的よい視力が得られるようになりました。ただし、多焦点眼内レンズは、先進医療のため保険がききません。 どのような眼内レンズが適しているかは、その人の眼の状態や生活スタイルによって異なります。手術前に医師とよく相談して、自分にあった眼内レンズを選んでもらうことが大切です。