No.487 「喘息症状ゼロ 」、「喘息死ゼロ 」作戦にむけて 南越谷健身会クリニック 周東 寛
近年、 喘息患者が増加傾向を示し、 喘息患者数は全国で500万人と推定されています。 喘息患者のなかでも、 特に高齢者の喘息患者数の増加は顕著であり、 喘息を死亡原因とする死亡者の数は、 年間1857人(2011年) になっています。
近年の治療法により喘息の病態が改善した
1950、 60年代には、喘息の本体は「気道の狭窄」や「気道の過敏性」 とされていました。それが、好酸球による慢性 道の過敏性」とされていましの気道炎症であるとわかり、吸入ステロイドを主とした治療が功を奏して、入院患者や救急外来の喘息患者数が減少に転じました。
気道炎症の治療をする吸入ステロイドが主役
現在、喘息については、気道の炎症を起こさないようにする「長期管理薬」と短時間で発作を抑える「発作治療薬」による治療が行われています。
① 「長期管理薬」とは、吸入ステロイドを第一選択薬とする基本治療です。これにさらに長時間作用型β2刺激薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、テオフィリン徐放製剤を併用します。アトピー型の重症喘息に対しては、「抗IgE抗体治療」も成果を上げています。
② 「発作治療薬」としては、おもに気管支拡張剤の短時間作用性β2刺激薬と内服のステロイドが用いられています。
喘息は重症度によって治療薬の調整が重要となりますが、吸入ステロイドによる長期管理療法により、「喘息発作をゼロ」 にもっていくことができると、今は考えられています。
喘息は早期に診断し早期に治療すれば治せる病気
①内服薬や点滴治療薬などの薬物は、血液によって全身に運ばれ、特に肺の血管を通じて気管支や肺の状態を改善させています。
②吸入薬は、 気道への吸入によって、気管、気管支から肺胞にまで優れた効果をもたらしています。早期に喘息を発見して「吸入ステロイドを導入」することは、喘息の症状を改善させるばかりではなく、喘息の病態をも改善させます。喘息は、治せる病気になったのです。しかし、喘息も予防が大切です。そのためには、生活習慣と生活環境をよく見直し、悪い点については自ら努力をして、改善していくことが大切です。