No491 乳幼児予防接種の注意と同時接種の勧め しらこばと子供クリニック大村 純一郎
お腹の中に無菌状態でいた赤ちゃんが生まれて、6カ月ぐらいはお母さんからの免疫で守られていますが、その後は次第に免疫が無くなります。お母さんからの免疫が無くなる前に病気に対する免疫を獲得させる処置、ワクチン接種で赤ちゃんを守ってあげる準備が必要です。 最近はワクチンの種類も増え多くの病気を予防できるようになりましたが、ワクチン接種の順番や組み合わせがとても煩雑となっています。接種の基本はお母さんからの免疫が無くなる前に、流行している病気、罹ると怖い病気を予防することです。受ける時期が来たら早期に確実に免疫をつけるため同時接種や混合ワクチンの接種が重要です。 日本小児科学会では同時接種を以下の理由で推奨しています。①複数のワクチンを同時接種しても有効性に変化はない ②同時に接種してもワクチンの有害性・副反応が強くなることはない。また接種できるワクチンの本数に制限はないとし、同時接種の利点として ①子どもたちをワクチンで予防できる病気から早期に守られる ②保護者の経済的・時間的負担の軽減になる ③各ワクチンの接種率が向上するとしています。 予防接種時に注意すべきはワクチンによって接種する年齢・回数・間隔に違いがあることです。接種の間隔は不活化ワクチンでは接種後6日間あける必要があります。接種部位の腫れ・しこり・発熱などが1週間以内に出る場合があるからです。同様に、生ワクチンでは接種後27日間あける必要があります。生ワクチン接種によって次のワクチンの免疫反応が妨げられる場合があるからです。 *11月から三種混合と不活化ポリオワクチンが一緒になり、4種混合となります。 *B型肝炎ワクチンは今までB型肝炎陽性のお母さんの子どもだけに接種していましたが、お父さんや乳幼児集団からも感染することが分かり、乳児期からの接種が必要です。*ロタウイルスワクチンは、月齢が過ぎて接種をすると腸重積の副作用が心配されるため接種間隔・接種終了期間が厳しく制限されています。 *麻しん・風疹、水痘、おたふくかぜは1回だけの接種では免疫が不十分で2回摂取が必要です。 予防接種のスケジュールや詳しい説明は日本小児科学会・国立感染症研究所の感染症情報センター・Know|VPDなどのホームページに見やすい接種一覧表がでていますので参考にしてください。分からないことはかかりつけ医に相談してください。