広報こしがや

No492 在宅療養について 越谷ハートフルクリニック蒲原  隆

健康な時には、誰しも考えにくいものですが、人生の最後をどのように迎えたいのか、体が動かなくなった時にどこで、誰に、どうして欲しいのか、どうしたら自分の希望を叶えることができるのか、ということをはっきりさせておくことはとても大事です。以前の日本では、自分の家で最後を迎える人がほとんどでしたが、昭和30年代中頃から病院で亡くなる人が増え、現在では病院で最後を迎えることが当然のようになっています。  しかしながら、病院での生活は、病気の治療や、業務の効率が優先されるため、あなた(患者)の生活習慣や嗜好は考慮されず、我慢を強いられることが多いものです。ですから、仮にあなたが、体は動けなくなったけれど病状は安定している、あるいは末期的な状態で根治的治療の手段がなくなった場合に、「住み慣れた自分の家で療養したい」、「残された貴重な時間を、思い出深い我が家で家族とともに過ごしたい」、そう思うようになるのは当然です。そんな思いを叶えるのが在宅療養です。  「在宅療養」では、「家で過ごしたい」と思うあなたと、そんなあなたの療養生活を手助けしてくれる家族や親族、あるいは友人や信頼できるご近所さんが主役です。しかし、主役が全てを抱え込む必要はまったくありません、主役であるあなた方が安心して家で療養できるように、ケアマネージャー、ホームヘルパー、訪問医・訪問看護師、病院の医師・看護師などが協力し在宅支援チームとなって手助けをします。点滴はもちろんですが、胃瘻や、酸素療法・人工呼吸器、リハビリテーションなど、皆さんが思っているよりも、たくさんの医療行為が在宅でも可能です。何より住み慣れた自宅で過ごすことで、精神的な安らぎが得られます。最後は穏やかな日々を過ごすということが一番大切なのではないでしょうか。  こんな「在宅療養」を考えてみたい、希望したいと思われる方は、すでに介護認定を受けている方ならケアマネージャーヘ、そうでない方は入院中の病院の主治医や相談員、地域包括支援センター、かかりつけの家庭医などにご相談下さい。