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№501 汗をかいた後の水分補給 越谷大袋クリニック  大薗 英一

この夏の暑い時期、熱中症の話をよく耳にします。熱中症は高温を引き金に体温が上昇し、汗をかいて脱水となる病気です。成人の体の60%は水分です。汗をかいて水分が失われても、尿を濃くして排泄量を減らし、喉が渇くことで水分摂取が促されて血管内の水分を一定に保つ機能が備わっています。しかし、この調節機能に限界がくると頭痛や吐き気が出て、その後、意識を失ったり動けなくなったりします。  ある市民マラソンで炎天下で4~6時間続けざまに体を動かした時に、水分と糖分だけ補給したら汗で塩分を失い体調を悪くしたという報告があります。しかし、普段から暑いところで働いている方は、そう簡単に塩分不足や脱水になりません。水分の取り方がうまいだけでなく、尿中に捨てる塩分量を汗で出た分減らすことにじん臓が慣れているからです。じん臓が慣れるまでに2~3日かかるのに、慣れていない方が急に災天下に出て無理をすると熱中症にかかりやすくなります。  そこで、暑いところに長時間出かけなければならない時は、その数日前から少し外で体を動かし、慣らしてみましょう。  熱中症の予防には、まず、しっかりご飯を食べ、動きやすい服装をして水分も汗をかく前から摂取します。汗をかきはじめたら、木陰で休み、こまめに水分を摂取してください。冷たいもので体の芯から冷やすのも効果的です。脇や首筋を冷やしても、体の火照りがとれ汗が止まるまでに30分以上かかるなら熱中症の入口、無理は禁物です。  脱水時の水分補給は、文字通り『水』で十分です。アルコールはダメです。糖分の多いスポーツ飲料やジュース・炭酸飲料もお勧めしません。糖による浸透圧効果でかえって尿が増え脱水がより悪くなることがあります。嗜好品としてスポーツ飲料は問題ありませんが、塩水に糖が4%(500㍉㍑のペットボトルで食塩1・5㌘、80㌔㌍)入っているので、体を壊すきっかけになったりします。持病をお持ちの方は気を付けて、主治医とよく相談して適切な対応をお願いします。  運動後十分に休養をとり、またしっかり食べましょう。「飲まず食わず」はダメ、「飲んで食わず」も「食って飲まず」もダメです。