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№526 機能性ディスペプシア  南越谷たかせクリニック 高瀬 康雄

みなさんは、今までに胃の具合が悪くて病院を受診し、慢性胃炎や胃潰瘍などの診断を受けたことはありませんか? 胃炎や胃潰瘍は、胃の粘膜の炎症や傷のために何らかの自覚症状がおきる病気です。臓器そのものの障がいが原因です。しかし中には、症状はあるのに内視鏡検査などを行っても胃そのものには異常が見つからないことがあります。それは「機能性ディスぺプシア」という病気です。「機能」とは臓器や器官などの働き(運動機能)のことであり、「ディスぺプシア」とは消化不良のことです。
 胃には3つの運動機能があります。食べ物が胃に入ると胃が広がり食べ物を貯えます(貯留能)。その後、芋虫のように動く蠕動運動により、食べ物と胃液を混ぜ合わせます(攪拌能)。さらに、消化して粥状になった食べ物を十二指腸に送り出します(排出能)。このいずれかの働きに障がいが起こることで「機能性ディスぺプシア」を発症する可能性があります。よくみられる症状は、食後のもたれ感、みぞおちの痛みや焼ける感じ、食事開始後すぐお腹がいっぱいになる感じなどです。しかし、症状だけでは胃の粘膜そのものに障がいがある胃炎や胃潰瘍との区別は難しく、正しく診断するには内視鏡検査が必要です。
 治療は、胃の運動機能を改善するための生活習慣の指導と薬物療法です。規則正しい生活を心がけ、ストレスをためないことが重要です。食事は、1日3食規則正しく摂取し、ゆっくりよく噛んで食べることが大事です。薬物療法は、消化管運動改善薬、胃酸分泌抑制薬、抗うつ・抗不安薬、漢方薬などいろいろあり、患者さんそれぞれの症状に合わせた処方となります。
 「機能性ディスぺプシア」は、治療をすれば不快な症状が改善され、食事もおいしく食べられるようになり快適な生活を送ることができるようになります。何か気になる胃の症状がありましたら我慢していないで医師に相談してください。