広報こしがや

NO.548 骨粗しょう症について やざわ整形外科クリニック 院長 矢澤 ひかる

骨粗しょう症について

 現在、わが国は世界に類を見ないスピードで超高齢社会に突入しています。平均寿命が延び、2016年統計において65歳以上の人口は、総人口の27・3%を占めました。寝たきりとなる原因の1つに「骨折・転倒」があります。  厚生労働省による要介護原因の調査では、「脳卒中」「老衰」に次いで第3位です。このように寝たきりの大きな原因となる「骨折」(「転倒」については転倒した結果、骨折となるケースが多い)ですが、骨折してしまう最大の原因は、『骨粗しょう症』です。  骨粗しょう症とは「骨がすかすかになり(骨の強度が低下し)、骨折しやすくなる」病気です。加齢とともに、人はだんだん、骨が弱くなります。皮膚の老化や血管の老化と同じように、骨も老化するのです。ただ、全員が同じように老化し、骨が弱くなっていくのではなく、骨が弱くなりやすい人と、年を取ってもそうでもない人がいるということがポイントです。この個人差は、遺伝的要素も関係しています。特に、女性の場合、閉経して女性ホルモンが減ると、骨が弱くなる方が多いですが、女性ホルモン減少の骨への影響を受けやすい人とそうではない人がいます。  骨粗しょう症の方は現在日本に1300万人と言われていますが、治療を受けているのは2割程度とされています。症状がなく気付かないため、骨折をしてから分かるケースも多いのが特徴です。 骨粗しょう症が病気として診断されるのは、骨密度検査などで問診や骨量測定をしてはじめて…という場合が多いようです。他の病気と一番違うのは『自覚症状がない』ことです。骨が痛いということはなく進行していき、何かの拍子に折れてしまうという点が一番やっかいな病気です。 骨粗しょう症は、早期発見、早期治療が一番です。早期発見のために骨量測定を行えば、自分の骨の変化を判断することができます。治療は薬の内服、注射ですが、この10年の間に目覚ましく進歩しました。骨粗しょう症がご心配な方は医療機関にご相談ください。