広報こしがや

NO.557 糖尿病とともに生きる  越谷レイクタウン内科  藤本まどか

もし糖尿病と言われたら。どきどきしながら採血結果を見たことはありませんか?  今、日本には1千万人の糖尿病患者がいると言われています。糖尿病は、血糖値が高くなることで、全身の血管を傷つけ、臓器を傷めてしまう病気です。進行してしまうと、失明、腎不全による透析導入、神経障害性疼痛による苦痛、えそによる足切断、脳梗塞による麻痺、心筋梗塞による心不全等で、人生が大きく変わってしまったり、寿命に影響したりする大変な病気です。がんや認知症などのさまざまな病気のリスクも高めてしまいます。  しかし、逆に考えれば血糖値が高いだけでは検査を受けるまで気付かないくらい痛くもかゆくもなく、元気なわけです。ですから、糖尿病と診断されたら、これから全身の臓器が高血糖によって受けるダメージを最小限にするために、すぐに治療を始めましょう。  糖尿病治療の3本柱は食事・運動・薬物療法です。食事は適切なカロリーをバランスよく、3食に分けて食べることが基本です。運動は1日8千歩が目安ですが、これは1日1回の外出と、10分の歩行があれば、あとは日常生活でおおむね達成できるといわれています。  糖尿病治療薬は、約100年前にインスリン(血糖を下げるホルモン)注射が開発されてから目覚ましい進歩を遂げています。特に最近はインスリンの出にくい日本人の糖尿病に適したDPP4阻害薬や、肥満対策につながるSGLT2阻害薬など、低血糖を起こしにくい薬が相次いで発売され、新薬の研究も続々行われています。糖尿病と診断されても、生活習慣に気を付け、上手に薬を使えば、健康な人と変わらず元気で長生きすることは可能です。  健診を受けていない方は、今年は必ず受けてみてください。注意マークがついたら、まずはかかりつけの医師に相談してみましょう。正しく怖がり、正しく向き合って、糖尿病とともに生きる「幸せな人生」を全うできるよう、私たち医療者は良いパートナーになりたいと願っています。