NO.561 「介護疲れ」ではありませんか? ~1人で抱え込まないで~ アオキクリニック 青木 勲
在宅介護を行っている皆様、大変お疲れ様です。何らかの理由で介護を終えた皆様、大変お疲れさまでした。介護は子育てと違い終わりが見えず、そして「休みがなく」、心身共にどんどんと疲労は蓄積され、追い詰められてしまうことも多々あるでしょう。大切にしたいという気持ちから始めた介護であっても、自分の時間はなくなり介護に追われ、疲労困ぱい。「もぅ、どうしたらいいの?」と思い詰めたり、自暴自棄になったり…。介護者の心にも限界があるのです。
特に、認知症がある場合、四六時中目が離せなかったり、でも滅多に会わない親族が来た時には症状が無いかのように振る舞われ、介護負担が軽いと思われたり…。批判的な意見も時にあったり…。そのようなことがあるとふだんの介護に対する評価がなされていないと思いかねません。そうなれば介護者にとっては心身共に辛いものです。イライラ感、緊張感、意欲の低下、趣味も楽しめない、友達と会うのも面倒になる、自責の念、思考が遅くなる、不眠、食欲低下・過食などの症状が出現してしまうこともあります。介護離職、介護うつ、介護殺人・介護自殺など社会問題にもなっています。
完璧に介護を行おうと努力していませんか? 専門家ではないのですから出来ないことが多々あるのは当たり前です。決して1人で抱え込まないでください。介護を受ける人、介護をする人ともに支援の対象となる。それが介護を支える本来の姿だと思います。訪問診療の導入、介護者の心のケアなどがその一例と思います。いつでも専門家に相談してください。一緒に考えていきましょう。
他方、施設に介護の場を移動させたことにより介護者が「見捨てた」感を覚え、日々悩む方がいらっしゃいます。疲れた状態で介護をすれば共倒れになりかねず、介護崩壊が起きてしまいます。ですから施設に紹介したことは、悪いことではないと思います。
また、死亡により介護が終わった方で、生前の介護は十分なものであったのかと悩む方がいらっしゃいます。いずれも罪悪感、後悔が強く出て、心に悪影響を及ぼしてしまうことがあります。元介護者へのメンタルケアも必要だと思います。