NO.574 植物によるかぶれ 中井皮膚科医院 小森一哉
植物によるかぶれ
植物はからだにやさしいイメージがありますが、しばしば派手なかぶれを起こします。例えば、ウルシ科の植物によるウルシかぶれは有名です。園芸で扱われ春先に花の咲くサクラソウ(トキワザクラやプリムラ・マラコイデス)もかぶれを起こすことで有名です。秋にギンナン拾いの後発症するギンナン皮膚炎やマンゴーを食べた後に唇が腫れるマンゴー皮膚炎もよく見かけます。これ以外にも多くの植物がかぶれの原因になります。植物のかぶれが起こった際にはステロイドの外用剤やかゆみを抑える内服薬などを使って早く治すことができますが、以後かぶれを起こした植物に触れないように気を付ける必要があります。
植物でかぶれる場面は野山や園芸など外での作業ばかりではありません。キダチアロエの葉の内部の組織がやけどや傷によいとされ、直接塗ったり貼ったりされている方がいらっしゃいます。しかし、アロエにはシュウ酸カルシウムという刺激性のある結晶成分が含まれており、この物質の刺激でかぶれることがあります。また葉の皮の部分に多く含まれるアロインという物質でアレルギー性のかぶれを起こすこともあります。やけどや傷の治療には刺激の少ない外用薬がありますので、アロエを使わずに病院を受診して治療したほうが安全です。
また、最近は植物の香り成分を抽出したアロマオイルをお使いになる方も多いと思いますが、かぶれることがあります。ラベンダー、ティーツリー、イランイランなどが原因となることが多いです。オイルマッサージや自家製化粧水で使用する場合、適正でない濃度で使った後にかぶれた方もいらっしゃるのでお気を付けください。アロマオイルでかぶれる場合、アロマオイルが付着した場所以外にも皮膚の赤みやぶつぶつなどの症状が出ることが多いです。まれには直接肌についたアロマオイルではなく、空気中を漂うアロマオイルでかぶれることもあります。この場合にはまぶたを含めた顔、首など露出部の症状が目立ちます。アロマオイルが原因なのか特定するにはパッチテストという方法がありますので、皮膚科の病院にご相談ください。