NO.589 浮腫ってどうゆうこと? 萬屋クリニック 萬屋 穣
浮腫って何でしょう、何が起こっているのでしょうか。今回は浮腫が出てきたときにどのような病気が考えられるかお話しします。
浮腫はどういう状態かと言いますと、身体の細胞が多く集まる、軟らかい組織内に体液が過剰になった状態です。体液の成分のほとんどは水です。全身の場合もあれば顔、腕、足など局所的に出ることがあります。ゆっくり浮腫んで、いつの間にか体重が増えていたり、急に腫れたように浮腫むこともあります。ちなみに腫れるは、浮腫むことと状態が違っていて、ばい菌が細胞に入ったり、打撲したりして炎症が起こった状態で区別されます。
浮腫は圧迫感や張った感じになりますが、ほとんどは無症状です。しかし、浮腫の原因によって息切れ、呼吸苦、息苦しさで横になれない、痛いなどの症状が出ます。
浮腫の仕組みは、少し難しくなりますが、毛細血管、主に静脈圧が上がること、血液内の成分のバランスが崩れて浸透圧というものが低くなること、毛細血管の水の通りがよくなってしまうこと、リンパ管の圧が高くなることによって起こります。これらの仕組みが起こるには原因があります。
その原因として全身性に浮腫む場合は心臓、肝臓、腎臓の病気、低栄養が考えられます。心臓は心不全を起こす病気(心筋梗塞、心筋症、弁膜症、不整脈、高血圧症など)が考えられます。
肝臓は肝不全を起こす病気(ウィルス性肝炎、アルコール性肝炎、薬剤性肝炎、脂肪肝、肝硬変、がんなど)が考えられます。
腎臓は腎不全を起こす病気(慢性腎臓病、ネフローゼ症候群など)が考えられます。局所性に浮腫む場合は深部静脈血栓症(足や腹部の深いところを流れる静脈に血の塊ができる病気)や、じんましんの時や遺伝的に異常にみられる血管性浮腫、リンパ管閉塞(腫瘍や寄生虫がリンパ管をふさぐ)、妊娠、腫瘍などによる静脈の圧迫、脳梗塞のまひ側、長時間の立ち仕事や坐業に見られる正常の浮腫があります。
多くの原因で起こる浮腫はいろいろな検査をすることで鑑別できます。浮腫みが気になったら、近くの病院へご相談ください。