広報こしがや

NO.592 レビー小体型認知症 こしがや脳神経外科 玉野 吉範

 高齢化社会に直面している現代社会において、認知症患者さんが増加しています。認知症の原因は色々ありますが、1番多いのが「アルツハイマー型認知症」で、2番目に多いのが今回ご紹介する「レビー小体型認知症」です。この「レビー小体型認知症」は、脳内にレビー小体と言うタンパク質が蓄積して発症します。65歳以上の高齢者に多く性差ははっきりしていません。
 この認知症の1番の特徴は、幻視症状がしばしば認められる事です。この幻視は夕方や夜に出現しやすく、虫や人が見える場合があります。例えば、天井に虫が見える、子供が部屋に来て物を持って行ってしまう、子猫や子犬が部屋にいる等を訴える事があります。この幻視は本人も実際にはいないと自覚している場合もあります。また他に現れる症状として、「レム睡眠行動異常症」があります。これは、睡眠中(特に夢を見ている時)に大声で寝言を言ったり、自分では分からずに突然起き上がって部屋を歩き回ったりします。ひどい場合には壁を殴ったり、ベットパートナーに暴力を振るうこともあります。この「レム睡眠行動異常症」は、認知症を発症する数年前から起こる場合もあり注意が必要です。
 さらに他の特徴として、「パーキンソン病」を呈する場合があります。動作が今までと比べて遅くなったり、体や手足が固くなってしまい転倒し易くなったり、顔の表情が非常に乏しくなったりします。パーキンソン病で有名な手の震えはあまり目立たない場合が多いです。
 「レビー小体型認知症」は日によって症状の良い時と悪い時の差が著しい事があり、原因不明の意識障害や意識消失発作を起こす場合もありますので注意が必要です。その他、過眠、便秘、うつ病、妄想等の症状も出現します。特徴的な妄想としては、家族が他人に入れ替わっているとの妄想や、家に誰か知らない人が住んでいるとの妄想(幻の同居人)があります。治療は主に抗認知症薬が処方されます。また抑肝散と言う漢方薬も効果がある場合があります。
 これらの症状がある場合には、お近くの医療機関にご相談ください。