NO.598 逆流性食道炎 おきつ内科クリニック 沖津 幹
逆流性食道炎
みぞおちの辺りがシクシク・チリチリするような痛みに悩まされた経験はございませんか? 皆さんも一度は聞いたことがあるかもしれませんが、それはもしかしたら逆流性食道炎かもしれません。
逆流性食道炎は、分泌過多となった胃酸が食道へ逆流し、粘膜の炎症を引き起こす病気です。
その原因として、肉食中心の食生活、過剰なアルコール摂取、喫煙、ピロリ菌感染率の低下、食道と胃の境目の筋肉の緩み、加齢に伴う背骨の湾曲、肥満などが挙げられます。
これらの要因が重なってあの不快な胸やけ、痛み、ゲップ、胃もたれ、さらにはのどの違和感や食物のつかえ感、長引くせきといった症状が出てくるのです。
次に診断ですが、いちばん確実なのは胃内視鏡検査を行い食道の粘膜を観察することです。それにより炎症の程度や広がりがはっきりします。ただ内視鏡検査を行わなくても、患者さんの自覚症状をしっかり問診することで診断することも時にはあります。
最後に治療ですが、薬物療法と食事を含めた生活習慣の改善が治療の中心になると思われます。主に使われる薬剤としては胃酸分泌抑制薬です。PPI(プロトンポンプ阻害剤)、H2ブロッカーといった薬剤が効果的です。おそらく内服されている方も多いのではないでしょうか。その他胃粘膜保護剤や胃腸運動促進剤などを組み合わせて使うこともあります。薬物療法だけでも症状の改善はかなり期待できると思われますが、加えて食生活の見直しや、食後すぐに横にならない、就寝直前の食事を避ける等の生活習慣の改善も試みるべきです。
逆流性食道炎は生命に関わる重篤な状態になることは少ないかもしれませんが、多彩な症状により生活の質(QOL)の低下を招く病気だと思います。
現在越谷市では胃がん検診を実施中です。検診では食道も必ず観察しますので、この機会に一度受診していただき、ご自身の食道の状態を把握してみてはいかがでしょうか? 気になる方はぜひかかりつけの先生に相談してみてください。