広報こしがや

NO.600 喘息について 山口醫院 山口文平

 喘息とは、息をするときの空気の通り道(気道と言います)に慢性の炎症が起きることによって、さまざまな症状が出る病気です。気道に慢性の炎症が起きると、粘膜がむくんだり、筋肉が縮んだり、痰が増えたりしやすくなります。
 喘息は、ふだんは症状なく過ごせますが、アレルギー物質やかぜのウイルスなどに対して過敏に反応することによって発作を起こします。 発作とは、気道粘膜のむくみや筋肉の収縮、痰の分泌が急に進んで気道が狭くなり、これにより咳を繰り返したり、息がゼーゼーヒューヒューしたり、苦しくなったりする状態です。
 発作は自然に、あるいは治療により、元の状態に戻りますが、慢性炎症自体は残ります。慢性炎症や、気道の収縮そのものは、少しずつ気道の構造に、もう元には戻らない変化を起こしてしまいます。そうなると喘息の症状は、より頻繁に、より重くなるので、早めに適切な診断を受け、早く治療を始めるべきです。
 喘息の治療薬は、慢性炎症を抑えたり、気道が開いた状態を保ったりする長期管理薬(コントローラー)と、起きてしまった発作を止める発作治療薬(リリーバー)の大きく二つに分類されます。
 長らく、コントローラーには吸入ステロイド薬あるいは吸入ステロイド薬と長時間作用性β2刺激薬の組み合わせが用いられてきましたが、平成28年(2016年)からはこれらに加えて、従来、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や重症喘息に限って使われてきた長時間作用性抗コリン薬が、必ずしも重症でなくても、毎日、咳や痰などの症状があったり、週に1回以上、夜間の症状があったりする喘息にも使えるようになり、これまで改善しにくかった痰がらみや夜間の症状にも効果が期待できるようになりました。
 リリーバーとしては主に短時間作用性β2刺激薬が使われますが、症状がある場合には、しっかりと長期管理をする必要があります。
 ご自身の喘息に、どのような治療が必要なのかは、医療機関にご相談ください。