広報こしがや

NO.603 血尿について ながね泌尿器科皮フ科クリニック 長根裕介

    尿に赤血球が混ざっている状態を血尿と言いますが、見た目に赤い「肉眼的血尿」と検診での「顕微鏡的血尿(尿潜血)」の2つがあります。肉眼的血尿は、薄いピンク色のものから真っ赤な尿までさまざまあり、時には血の塊(血腫)が排出されることもあります。一方の顕微鏡的血尿は見た目では異常が分からず、検診などで指摘されますが、簡易的な定性検査で陽性でも実際に赤血球が含まれないこともあります。
 血尿には、疼痛、頻尿などのほかの症状を伴う場合と症状を伴わない場合もあります。前者の場合、血尿の原因により排尿時痛、背部痛、頻尿、残尿感などさまざまな症状を伴い、疼痛の部位や症状出現の時期などである程度、病気を鑑別する助けになります。また、何も症状を伴わない場合でも病気が潜んでいることがあり、しっかり原因を特定することが必要になります。
 尿は、左右の腎臓で作られ腎盂、尿管を経て膀胱へ溜まり、尿道から排せつされます。血尿の原因は、腎臓から尿道までの尿路およびその周辺に潜む病気であることが多く、比較的短期間で治まるものから深刻な悪性腫瘍までさまざまあります。腎臓からの血尿では、腎結石、腎細胞がん、IgA腎症などの腎炎や腎動静脈瘤などの血管異常が原因となることもあります。尿路からの血尿では、腎盂腎炎、膀胱炎などの尿路感染、腎結石、尿管結石、膀胱結石などの尿路結石、腎盂尿管がん、膀胱がんなどが原因となることがあります。
 尿の色については、水分の摂取具合、時間帯、内服薬や飲食物、疾患によっても変化し、照明や背景でも見え方は変わります。尿は、水分が不足している時、起床時の尿など尿が濃縮されて、濃い黄色~オレンジ色に見えることもあります。
 また、肉眼的血尿の色は、出血の程度、感染の有無、出血後の時間経過などで変化します。血尿に近い色として、肝臓が悪い時には濃い茶色に見えるビリルビン尿であることもあります。血尿は、比較的わかりやすい症状ですが実際に尿検査をしてみないとわからないこともあり、泌尿器科受診をお勧めいたします。