NO.609 子どもの新型コロナウイルス感染症で これまでわかっていること キャップスクリニック越谷レイクタウン 小野 敏明
2019年秋に中国で原因不明の新型肺炎として報告された新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)は2020年に国内でも確認されて以降2022年の現在でも感染拡大のコントロールができず苦慮しております。
コロナウイルス自体はかぜ症候群を起こすウイルスとしてもともと医療関係者の間では有名なウイルスで、これまでにもSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)などの突然変異ウイルスの流行が見られました。SARS-CoV-2はその遺伝子配列よりこれまでの既知のコロナウイルスとは異なるコロナウイルスとして認識されており、感染すると新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こします。
流行当初に認められたアルファ株からデルタ株までは子どもには感染を起こしにくいと言われていましたが、現在流行中のオミクロン株は子どもにも感染しやすいウイルスとして認識されております。感染がコントロールできていない要因として高い感染力や無症状ないし症状の軽い感染者が多いことも指摘されております。オミクロン株とかぜ症候群の見分けは難しく、当院でも感染性胃腸炎としか思えない方でも陽性例がありました。子どもの感染に関して言えば世界的に見ても基礎疾患がなければ重症化しにくいと言われていますが、これまでの報告や当院での経験でも4歳以下の方は発熱が長引きやすいなどやや症状が重くなりがちな印象があります。新型コロナウイルス感染症後に咳が長引く方で喘息治療により症状が軽快した方も経験しておりますので、感染後に咳が長引く方はかかりつけの先生などにご相談ください。
また日本ではあまり問題になっていませんが、世界的には新型コロナウイルス感染中の小児多系統炎症性症候群という川崎病によく似た症状の合併症が問題になっています。感染中の受診可能な医療機関は少ないですが、川崎病のような症状を認めた場合は保健所などに相談して医療機関を受診するようにしてください。
まだまだ分かっていないことが多いですが、流行はしばらく続きそうですので皆様のできる範囲での対策をお願いいたします。