NO.618 頭痛の小話 新世紀脳神経外科 田中 雅樹
日本人の約6割の方が月1回以上の頭痛があると言われています。多くの方は頭痛があると頭の病気が心配になると思いますが、いかがでしょうか。頭痛はまず一次性頭痛と二次性頭痛に分けられます。二次性頭痛がいわゆる頭の病気によって引き起こされる頭痛で、くも膜下出血や脳腫瘍、髄膜炎などが原因となり頭痛が起こるものです。対して一次性頭痛は、頭痛そのものが病気であるものを指します。実のところ二次性頭痛は1割程度しかなく、慢性頭痛、いわゆる頭痛持ちと呼ばれる方の場合は一次性頭痛によるものがほとんどです。
一次性頭痛の中で最も多いのは緊張型頭痛と呼ばれるものです。いわゆる肩こりから来る頭痛であり、こめかみや後頭部などが重い、締めつけられるように感じられる場合はほぼこの頭痛です。首、肩周りの筋肉の慢性的な疲労で起きるものなので、パソコン作業が多い方や同じ姿勢を長時間続けている方、スマートフォンの使い過ぎには注意が必要です。ふだんから首や肩周りの運動を行うこと、適度な休息を取ることが大切です。次に多いのは片頭痛ですが、こちらは発作的に起こる頭痛であり、典型的なものでは閃輝暗点と呼ばれるギザギザした光が見えた後に頭痛が起こります。片頭痛という名前ですが片側だけが痛むわけではなく、約4割が両側が痛くなります。強い頭痛を起こすことが多く、トリプタンと呼ばれる専用の薬でだいぶ抑えることができます。そのほか頻度は低いですが群発頭痛等もあります。これらの慢性頭痛では鎮痛剤の使用頻度が多くなりがちで、薬の使い過ぎによる頭痛が起きることもあります。こういった頭痛を薬剤乱用頭痛と呼びます。
「突然」「今までにない激しい痛み」「意識が混濁する」「手足の動きもおかしい(まひ)」等の場合は二次性頭痛の可能性があり、「いつものような」頭痛は一次性頭痛の可能性が高いと判断できます。もちろん見極めが難しい例も多いため、判断に悩む場合や症状がつらい場合は医療機関にご相談ください。