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NO.630 肺がん検診がなぜ重要なのか なかの内科・呼吸器 クリニック 仲野 堅太郎 

 「がん」という言葉を耳にしない日はないぐらい、日常生活でもよく聞く言葉です。一方で、自分自身や近親者ががんになってしまうという経験をしたことがない方のうち、がんにかかった自分を具体的に想像している方はあまりいないのではないでしょうか。
 最新のがん統計によると、2019年の1年間で新たにがんと診断された患者の数は約100万人であり、「日本人が一生のうちにがんと診断される確率」は男性65.5%、女性51.2%と、2人に1人を超えています。がんと診断された時点から5年後まで生存している確率は、男性62.0%、女性66.9%と、かなり治療が進歩してきていても、3人に1人は5年間以内に亡くなっているという厳しい数値が出ています。
 「どんながんにかかっているのか」という臓器別の統計で見てみると、男女合わせた総数では、肺がんは大腸がんに次いで2位であるにもかかわらず、「がんで亡くなる方の数」という統計で見ると肺がんはずっと1位の座をキープし続けています。
 その理由はわれわれ専門家の間でははっきりしていて、「肺の中には痛みを感じる神経が存在しないために症状が出にくく、発見が遅れやすい」ということに尽きると思います。肺がんに限らず、すべてのがんは大きく「早期がん」と「進行がん」の2つに大きく分けることができ、早期がんの段階で発見できた場合、手術によって根治を目指せる可能性も少なくありません。
 そこで重要なのが「肺がん検診」です。越谷市では「肺がん・結核検診」としてわずか500円の自己負担で胸部レントゲン検査を行っております。令和4年度までは1,000円だったのですが、その重要性のため、令和5年度からは500円とさらに自己負担額が安くなりました。がんは誰がかかってもおかしくない時代です。繰り返しになりますが、肺がんは症状がないまま静かに進行する怖い病気です。
 皆さん日々忙しいとは思いますが、なんとか時間を作って「肺がん・結核検診」を受けましょう!