広報こしがや

NO.631 脳卒中とリハビリ リハビリテーション天草病院 天草弥生

 脳梗塞は脳の血管が詰まる病気で、脳出血・くも膜下出血は脳の血管が破れる病気です。これらは総称し脳卒中と言われ、医学的には「脳血管障害」と呼ばれています。
 我が国における脳卒中は、死因としては、がん、心疾患、肺炎に次いで第4位となっていますが、寝たきりとなる原因の第1位です。
 脳卒中の治療は、発症直後の速やかな治療とリハビリテーション(以下リハビリ)の早期開始・継続が重要です。たとえ生命の危機を脱しても、体のまひや感覚障害、嚥下障害、言語障害、高次脳機能障害等の後遺症が残ることが多くあります。
 神経機能の回復のメカニズムはまだよく分かっていないことも多いのですが、少なくとも早期にリハビリを開始すると、機能予後は格段によくなることが分かっています。一人ひとりの障害に応じたリハビリを行い、今まで行っていた日常生活にできるだけスムーズに戻れるようにしていくことが重要です。また、リハビリは本人だけでなく、家族や友人など周りのサポートや理解も重要となってきます。
 リハビリ医療で何よりも大切なのは多職種連携によるチームアプローチです。チームアプローチとは医師、歯科医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士、医療ソーシャルワーカーなどの多職種が連携・情報共有し、患者さんや家族と協力してリハビリ医療を行うことです。歯科医師と歯科衛生士は特に口から物が食べられなくなる嚥下障害の患者さんへのアプローチで大変重要な役割を担っております。
 患者さんの目標はそれぞれ違います。ごはんが口から食べられるようになりたい、歩いてトイレに行けるようになりたい、家族へ料理を作りたい、何が何でも職場復帰したい、車を運転したい、とさまざまです。それぞれの目標へ向け自分らしく生きるためにも、急性期治療が終わったらとにかく早くリハビリを開始し、諦めず継続することが大切です。