No.322 不整脈について 大越 恭二
心臓は血液を送り出すために、一定のリズムで収縮と拡張を繰り返しています。ところが、何かの原因でリズムが乱れ、心臓の打つ回数が極端に速くなったり、おそくなったり、不規則になったりすることがあります。
この状態を不整脈といいます。不整脈の種類としては、心臓の刺激の起こり方の異常として、期外収縮、心房細動、発作性頻拍(ひんぱく)症などがあり、心 臓の刺激の伝わり方の異常として、房室ブロック、脚ブロック、WPW症候群などがあります。これらを診断するためには、まず心電図検査を行う必要がありま す。しかし、発作中(不整脈が出ている時)にしか心電図に変化が出ないものもあるため、ホルター心電図という携帯用小型記録計をつけて、24時間連続記録 をとることもあります。また、運動負荷テストといって、心臓に運動による負荷をかけ、不整脈の出現の有無をみる検査などもあります。
不整脈の自覚症状としては、動悸(どうき)、息切れ、めまい、失神(意識が遠くなる)、胸部不快感、脈がとぶ、などさまざまです。この中には、向じよう な症状が出ていても緊急治療が必要なものから、そのまま経過をみていても心配のないものまであります。例えば、期外収縮という不整脈では、基礎に不整脈以 外の心臓病がある場合は問題となりますが、若い健康な人がストレス、疲労、睡眠不足、アルコールの飲みすぎ、タバコの吸いすぎ等で起こる場合は、不整脈そ のものはあまり問題になりません。
合併症として、慢性的に不整脈がある場合は、心臓内での血液の循環が不規則となり、小さな血栓を作り、それが末しょうの血管につまることにより末しょう動脈閉塞(へいそく)症や脳塞栓(のうそくせん)症を引き起こすこともあるので注意が必要です。
治療としては、主には薬物療法ですが、不整脈の種類によってはペースメーカー挿入や心臓カテーテルによる刺激伝導路の焼灼(しょうしゃく)などが必要な場合もあります。
以上のように不整脈には、種類により治療の必要の有無を決めたり、治療法の選択をする必要があるため、正しく診断することが大切です。そのためにも、自覚症状がなくても健康診断等を受けたり、自覚症状があれば速やかに医療機関で相談してください。