No.334 薬の使い方(抗潰瘍剤) 石川 茂子
胃痛、胸やけ、胃もたれといった症状は、誰もが一度は経験することで、胃薬を常備しているご家庭が多いことと思います。
私たちの胃では、胃酸や消化酵素により食べ物を消化します。胃壁の表面は、消化作用をもつこの胃酸や消化酵素の攻撃から自分の胃を守るための粘膜や粘液 で保護されています。健康な胃では、この攻撃と防御のバランスが保たれています。ところが、ストレス、暴飲暴食、薬などにより、バランスが崩れ、胃酸が過 剰になると、粘膜が傷つき、消化性潰瘍ができると言われてきました。最近では、潰瘍の発生にヘリコバククー・ピロリ菌という細菌の関連性が注目されていま す。
潰瘍の薬には、攻撃を抑えるもの、防御を補強するものなど種々あります。なかでも、胃酸の分泌を抑えるH2ブロッカー(ヒスタミンH2受容体拮抗剤)が 1982年我が国で臨床の場で用いられるようになり、潰瘍の治癒率が上がり、外科手術が減りました。最近では、H2ブロッカーよりさらに強力に胃酸を抑え るプロトンポンプ阻害剤という薬が登場しましたが、ここではH2ブロッカーを中心に話をしていきます。
「H2ブロッカー」どこかで耳にしたことはありませんか?元来、医療機関で消化性潰瘍、胃炎の診断のもとで投薬されていましたが、1997年9月から薬 局でも購入できるようになり、テレビのコマーシャルにも登場するようになりました。胃痛、胸やけ、胃もたれなどの症状がでた場合、所定量を1回服用し、 4~8時間たっても治らなければ、もう1回服用します。薬によって効果の持続する時間が違いますので、1日に服用できる回数、服用の間隔は多少異なりま す。アルコール摂取は薬の血中濃度を高めることがあるので控えてください。消化性潰瘍や胃炎で医師より処方され、所定量を定時間帯に毎日服用するのとは異 なった飲み方です。
肝臓、腎臓、血液の病気、ぜんそくやリウマチなどの免疫系の病気で医療機関にかかっている方、高血圧や不整脈の薬抗生物質、ステロイド、てんかんの薬な どを飲んでいる方、薬を飲んで過敏症を起こしたことがある方は必ず医師や薬剤師に相談してください。また、副作用として発疹、かゆみ、呼吸困難、発熱、食 欲不振、便秘、下痢などの症状が現れることがありますから、疑わしい場合は医師、薬剤師に相談してください。3日間服用しても治らない時は(薬で症状が治 まっても)病気が隠れている可能性がありますから、医療機関の受診をお勧めします。