NO.642 早期乳がんに対するラジオ波焼灼療法 乳腺レディースクリニック越谷 石綱 一央
腫瘍を高周波電流で焼灼するラジオ波焼灼療法(radiofrequency ablation:RFA)は2004年の保険適応以降、肝臓がんの標準治療の一つとなり、肺がん、小径腎がん、悪性骨腫瘍、骨盤内悪性腫瘍、四肢・胸腔内および腹腔内に生じた軟部腫瘍、類骨骨腫(良性腫瘍)にまで適応が拡大されてきました。
乳がんにおいても整容性を保てる「切らない」治療であるRFAは早くから注目されましたが、「切らずに治せる」という甘い宣伝文句のもと2000年代前半に自由診療下で盛んに行われた結果として再発・転移が増加し、2013年には日本乳癌学会から「臨床試験として実施されるべき治療法である」との注意喚起がなされていました。
このような経緯により乳がんに対するRFAの有効性と安全性を評価することを目的に、2013年から早期乳がんに対する医師主導特定臨床研究(RAFAELO試験)が先進医療制度下で行われ、短期解析で乳房内無再発生存割合が標準治療である乳房部分切除術に劣らない成績が示されたことから、2023年12月1日にRFAは早期乳がんに対しても保険適応となりました。しかし実施にあたっては厳格な適正使用指針が示されています(例:通常型の原発性乳がん、限局性単発性で1.5cm以下、腋窩リンパ節転移なし、皮膚浸潤なし、前治療なし、など)。
RFA後は乳房部分切除術と同様に放射線治療が必要であり、放射線治療終了後3ヵ月の時点での吸引式生検術で乳がんの遺残が確認された場合は通常の手術を行う必要があります。
早期乳がんに対するRFAは低侵襲で高い整容性を保てる半面、根治性や合併症の長期成績が不明であり、効果判定の難しさや施術後硬結の残存といったデメリットもあります。そのため保険適応となった現在もあくまで標準治療は手術です。しかし適応を順守し長期的な成績が示されれば、乳がんの患者さんにとって希望となる治療になる可能性を秘めています。
乳がんに対するRFA実施医療機関はまだ少ないため、ご興味のある方は日本乳癌学会のホームページをご確認ください。
乳がんにおいても整容性を保てる「切らない」治療であるRFAは早くから注目されましたが、「切らずに治せる」という甘い宣伝文句のもと2000年代前半に自由診療下で盛んに行われた結果として再発・転移が増加し、2013年には日本乳癌学会から「臨床試験として実施されるべき治療法である」との注意喚起がなされていました。
このような経緯により乳がんに対するRFAの有効性と安全性を評価することを目的に、2013年から早期乳がんに対する医師主導特定臨床研究(RAFAELO試験)が先進医療制度下で行われ、短期解析で乳房内無再発生存割合が標準治療である乳房部分切除術に劣らない成績が示されたことから、2023年12月1日にRFAは早期乳がんに対しても保険適応となりました。しかし実施にあたっては厳格な適正使用指針が示されています(例:通常型の原発性乳がん、限局性単発性で1.5cm以下、腋窩リンパ節転移なし、皮膚浸潤なし、前治療なし、など)。
RFA後は乳房部分切除術と同様に放射線治療が必要であり、放射線治療終了後3ヵ月の時点での吸引式生検術で乳がんの遺残が確認された場合は通常の手術を行う必要があります。
早期乳がんに対するRFAは低侵襲で高い整容性を保てる半面、根治性や合併症の長期成績が不明であり、効果判定の難しさや施術後硬結の残存といったデメリットもあります。そのため保険適応となった現在もあくまで標準治療は手術です。しかし適応を順守し長期的な成績が示されれば、乳がんの患者さんにとって希望となる治療になる可能性を秘めています。
乳がんに対するRFA実施医療機関はまだ少ないため、ご興味のある方は日本乳癌学会のホームページをご確認ください。