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No.643 市の骨粗しょう症検診を受けましょう さめしま整形外科 鮫島 弘武

 骨粗しょう症とは、骨の密度や質が低下し、骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。特に高齢者や閉経後の女性に多く見られますが、若い人でも生活習慣や病気の影響で発症することがあります。全国の骨粗しょう症患者は1,280万人(男性300万人、女性980万人)と推定されています。日本の人口と比較すると、10人に1人が骨粗しょう症ということになります(骨粗鬆症財団)。体の中の骨は生きています。同じように見えても、新たに作られること(骨形成)と溶かして壊されること(骨吸収)を繰り返しています。骨粗しょう症は、このバランスが崩れる(骨吸収が相対的に増える)ことで起こり、骨がスカスカになってきます。
 骨粗しょう症は圧倒的に女性、特に閉経後の女性に多く見られ、女性ホルモンの減少や老化と関わりが深いと考えられています(日本整形外科学会)。骨粗しょう症が進むと、背骨、大たい骨などの骨折を起こしやすくなります。たかが骨折ではありません。大たい骨骨折後の5年生存率は約20%~50%です(文献による)。これに対し、全部位のがんの5年生存率は66.2%です(国立がん研究センター)。つまり、骨折を起こすと全がん平均に比較し生命寿命が短くなるのです。また、医療経済の面でも骨折に対する治療費などを考えれば、骨折の予防は医療費削減効果もあります。
 骨粗しょう症の検査は、医院、病院などではX線を使いますが、市の検診は超音波(エコー)を使います。X線を使う方法に比べ精度は落ちますが、スクリーニング検査としてはX線被ばくもなく安全に行えます。市では、5月10日~8月5日の間に計18日、骨粗しょう症検診を予約制で行っています。市のホームページから予約できます。その結果により市は専門機関の受診をお勧めしています。2000年頃以降、有効な治療薬が世界で発売され、日本でも広く使用されています。骨粗しょう症があまり進まないうちに発見し、健康寿命を延ばすためにも治療を行ってください。