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NO.604 急性胃腸炎 つむぎこどもクリニック 吉岡淑隆

 急性胃腸炎とは、胃や腸に炎症を起こしている状態をいいます。その原因は、(1)ウイルスや細菌の感染による胃腸炎 (2)寄生虫、毒キノコなどの植物、ヒ素などの化学物質で汚染された水や食べ物 (3)炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病) (4)好酸球性炎症症候群(新生児-乳児食物蛋白誘発胃腸炎)などがあります。ほとんどは①が原因の感染性胃腸炎です。 
 感染性胃腸炎の原因となるウイルスには、ロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルスなどがいます。これら
のウイルスはすべてアルコール消毒が効きません。せっけんでの手洗い、汚染されたものや場所は次亜塩素酸系の消毒薬を使用する必要があります。
 感染性胃腸炎を発症した場合、脱水の予防が重要となります。また、嘔吐物や下痢便にはナトリウムやカリウムが含まれているので、それらを補う必要もあります。市販されているものでは、経口補水液が適しています。お子様で経口補水液を嫌がる場合は、塩分を含んだ重湯、おかゆ、みそ汁の上澄み、野菜スープなどでもよいです。100%のりんごジュースもエビデンスがあり、お勧めです。5mlずつ(スプーン1杯、ペットボトルキャップ3/4程度)を5分ごとに摂取して、嘔吐がなければ摂取間隔を徐々に短くしていきましょう。乳児の場合は、母乳栄養を継続すべきであり、母乳を併用したほうが重症脱水が少ないと報告されています。ミルク栄養のお子様もミルクの希釈は推奨されておりません。
 ロタウイルスは5歳までに必ず感染し、初めて感染したときに重症化しやすいウイルスです。重症の脱水や痙攣が止まらずに入院する子どもが多かったのですが、予防接種が始まったことで入院する子どもはほとんどいなくなりました。生後2カ月から予防接種が可能で、生後14週6日までに1回目の接種を済ませる必要があります。現在、公費での接種が可能となっておりますので、お近くの医療機関でご相談ください。