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NO.615 帯状疱疹について 滝口皮フ科  瀧口光次郎

 帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる病気です。ウイルスに初めて感染した場合は水痘(水ぼうそう)になります。そのため水痘に感染した事がある人なら誰もが帯状疱疹を発症する可能性があり、日本では成人の約9割がこのウイルスを体内に持っていると考えられています。加齢やストレス、疲労などが誘因となり、ウイルスが再活性化されて増殖することで発症すると考えられています。年齢的には50歳を超えると発症率が高くなります。帯状疱疹患者の約7割が50歳以上とされています。
 帯状疱疹の症状は、赤みを伴う水疱が体の片側に帯状に現れます。痛みを伴うことが多く、皮膚症状が出る3日~5日前から前駆症状で痛みが出ることが約75%あるとされています。注意が必要なのは顔に症状が出た場合で、目の周囲に出た場合は角膜炎などにより視力低下を来したり、耳の周囲に出た場合は難聴やめまいに加えて顔の神経がまひすることもあります。
 診断は前述のように、体の片側に帯状に出現する水疱によって判断できます。ただし、典型的な症状が出ないこともあり、診断が難しいこともあります。その場合には、水疱がある場合には抗原検査での診断もできるようになりました。しかしながら、痛みだけで皮膚症状がない場合には神経痛との区別は困難であり、水疱が出てくるまでは診断が困難ですので皮膚症状の出現に注意しながら経過を見る必要があります。
 治療は抗ウイルス薬の内服になります。痛みがある場合は鎮痛剤の内服も行います。症状が強い場合には大きな病院で入院して点滴で治療することもあります。診断がついたら早めに抗ウイルス薬の治療を始めることが重要です。
 後遺症としては帯状疱疹後神経痛が有名です。皮膚症状が落ち着いてからも痛みが数カ月~数年持続することがあり、50歳以上の患者の約2割が帯状疱疹後神経痛に移行するとされています。そのため予防は重要であり、ストレスを避けたりすることも大事ですが、50歳以上であればワクチンの接種も可能です(保険外診療)。現在、帯状疱疹に対するワクチンは2種類あり、期待できる効果や費用、接種の仕方も違います。ご希望の方は近隣の医療機関で相談してみましょう。