NO.619 アナフィラキシーについて 酒井救急クリニック 酒井 拓磨
アナフィラキシーは重篤(じゅうとく)な全身性のアレルギー反応です。蜂に刺されて起こることが有名ですが、原因は蜂以外にもさまざまで食べ物、薬、だに、病院でCT等の時に使う造影剤などがあります。蜂の仲間の中では足長蜂、すずめ蜂、蜜蜂の順に多いとの報告があります。アナフィラキシーは全身のじんましん(虫刺されのような赤みのある跡が不規則な形で広がりかゆみがある)に加えて、息が苦しくなる、ぜーぜーした呼吸になる、血圧が下がる、気持ちが悪くなる、失神する、冷や汗が出る、どうきがする、お腹が痛くなるといった症状が出ます。症状の出現は急速で最も重篤な場合は数分で死に至ることもあります。遅くても数時間以内の発症が多いです。そのため重要なことはアナフィラキシーを起こさないようにすることです。食べ物や薬のアレルギーが分かっている場合はそれを避けるようにし、蜂は短期間で2回刺されると発症のリスクが高まるため近寄らないようにしましょう。
アナフィラキシーが起きてしまったときは迅速な対応が必要です。安全な場所で横になってすぐに病院や救急車へ連絡をしてください。呼吸の状態に注意し、呼吸が止まったら心肺蘇生(心臓マッサージ)が必要となります。病院での治療はアドレナリンという強心剤を主に使い、ほかに抗アレルギー薬、ステロイド等を使用します。必要に応じて酸素投与や人工呼吸も行うことがあります。
このようにアナフィラキシーは急速に発症し、かつ重篤な状態となるため病院に着くまで間に合わないことも考えられます。そのためアナフィラキシーのリスクが高い人は自分でアドレナリンを投与できるような自己注射薬をあらかじめ処方を受けることが可能です。
またご自身が何にアレルギーがあるかも病院で調べることができます。近隣の医療機関で相談してみてください。